lighting experiments
生産系の照明実験では、1924年から開始されたホーソン工場の実験が有名である。ここでは、照明と作業能率の関係が見出されなかった。日本においては1925年以降に照明と作業能率の実験を行っており、両者に関係あることが確認できていた。
現在、生産系の歴史にホーソン工場の結果は刻まれているが、照明と作業能率に関係があることを忘れてはいないだろうか。ここでは、1925年から日本で行われた照明実験の結果をもとに、照明と作業能率に関係があることを記しておく。
◇実験者:東京電気株式会社(照明の研究・開発・製造・施工会社)
◇実験1:関東大震災(1923年9月1日)で被災した関東地区の某工場(バラック状態15ルクス)から、新しい照明を入れた新棟に、設備と人を移動したときの、単位時間当たりの生産実績を確認した。
※旧照明と新照明時の作業者・作業品種を合わせたことにより作業数が異なるため、期間中の作業数は異なる。見やすいよう当オフィスが下表にまとめた

上記から、期間中の十分な作業数を調べた中で、単位時間当たりの生産数の比較において、104%から167%の範囲で能率が向上したことを確認した。
◇実験2:1928年5月1日~7月27日(88日間{前半:旧照明、後半:新照明})関東地区の某紡績工場において、作業者5名が840ヤードの綿糸を巻く作業時間をストップウオッチで正確に計測した。旧照明(60W照明)時の作業時間と、同位置に新照明(200W照明)を付け替えた後の作業時間を確認した。
※見やすいよう当オフィスが下図にまとめた

夜間作業では、旧照明(暗い照明)による視疲労が、休憩を使っても回復不能な肉体的疲労として作業時間を増加させたことが、上記右図青線の実績からわかる。また、近似直線のR2乗値をみると、「就業時間の経過」と「作業時間の増加」の関係において、旧照明の夜作業に強い相関(上記右図赤字部)がみられたが、新照明では「就業時間の経過」に伴う影響が薄れていることがわかる。(久保田)
[考え]
この後、同社では照度と作業能率の関係も実験され、有効な結果が出されたが、紹介はここまでにする。上記の結果から、照明と作業能率に関係があることを日本で確認していた。
これら結果については、習熟(1936年に発見)の影響は受けていないと考える。また、上記実験の環境条件は、①実際の生産現場を用いている ②同じ作業者(熟練工)で実施している ③同じ設備を用いている ④照明の明るさのみを変更した から、照明と作業能率の関係を示す事実のデータがとれていると考える。(久保田)
資料:当時、実験者が社外に向けて開講していた「照明学校」の、「工場照明」講座のデータをまとめた
記載:2024年9月22日
